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筋の短縮と拘縮について

 先日、関わらせていただいたまめちゃんの筋・関節の状態は、極めて厳しいものでした。

 初めて彼の足を見たとき、正直これはつくのが難しいと直感したのです。

 私は、飼い主さんには「拘縮には至っていませんでしたが、短縮の状態でもかなり厳しいものです。」と伝えました。

 では、短縮とは?拘縮とは?

 マッサージを自宅で自己流で行なっている方でも、これは知っておくべきことです。

 短縮・・・筋・関節運動における可動性の障害があるが、運動療法等で可逆性のある状態。

 拘縮・・・
運動の可動性の著しい障害であり、軟部組織が変性萎縮し、固有感覚を受容できなくなった状態。

 短縮は不活動(つまり使わない)により、筋原性の萎縮が起こります。

 このとき、気をつけて頂きたいのは、その時とっている姿勢にも影響されるということです。

 私自身、車椅子を否定する気は全くありませんが、この車椅子を多用することで、適応性短縮を起こします。(ようは、車椅子に合わせた姿勢に陥り、それが筋肉や関節の状態を悪くする可能性があるのです。
 更には、経験上犬にとっては車椅子を使うということで、それが最も自分にとって移動するための手段であり、モチベーションとなるため、失われた機能を取り戻すためのモチベーションが沸きにくい印象があります。)

 しかしながら、多くの犬が代償的に使わざるを得ない状況に陥りますから、これは仕方のないことですし、それを管理すればよいということになります。

 まめちゃんは、車椅子を使うとき、後肢が大きく曲がった状態になります。これが長時間持続したことで、伸びにくくなっていたのです。更には、車椅子を使用してそれが彼の実用的な機能になったため、後足を使う経験が全くなくなり、感覚が悪くなっていたのです。

 これをマッスルウィークネス(muscle weekness)といいます。筋肉の随意的な力を起こすこと、関節運動を起こすことの障害をいい、動かすための発火の情報が少なくなってしまっているため、悪循環が起こってしまっています。

 ここまでを整理しますと、発症して動くことのできなくなったまめちゃんは、移動手段のために車椅子を使うことになります。

 後足を使わなくなったことに加え、その使用時間に比例して短縮状態が強まり、自発的に動かすことを更に忘れ、後一歩で拘縮へと姿を変える状態だったのです。
 
 拘縮になれば、治療的介入は困難ですが、短縮でしたので、1回の介助の中でもかなり変化を見せてくれましたし、一瞬でしたが、感覚入力による反応も見せてくれました。

 細かい内容については触れませんでしたが、介助を行なうにあたり、触れてすぐに変わるような感触を受ければいい状態を保っており、なかなか変化が得られないときは極めて難しい状態であることを認知していただければと思います。

 

by kengou0820 | 2008-06-02 21:17 | トピックス